Duolingo無課金勢ユータ

Bonjour!ユータです。 大学で情報学とフランス語と教職を専攻している大学生です。 主にDuolingoを使った学習記録を中心に、「これからフランス語を始めたい!」と思っている方に役立つ情報を届けています!

「陸の孤島」と化した調布駅に、帰宅困難者を救うヒーローがいた

newsdig.tbs.co.jp

16時半前。教職の集中講義が終わって、やっと開放感に浸れるはずだった。
駅に向かう足取りも、少し軽かったと思う。
――あの光景を見るまでは。

なんだこの人混み。
改札を抜けると、一気に景色が変わった。
ざわざわ、ざわざわ、何かがおかしい。
何か…異常事態だ。

京王線が…止まってる? 倒木の影響で運転見合わせ??

どうやら、若葉台方面の相模原線は完全にアウトらしい。
これはまずい。私はまさにその路線沿いに住んでいるのに。
状況を理解するよりも先に、ただ呆然とするしかなかった。調布駅、まさに「陸の孤島」だった

目の前には、見たことのないほどの人がバス停に押し寄せていた。
あんなに広かったはずのロータリーが、人で埋め尽くされている。
ただ立っているだけなのに、息苦しさすら感じるほどの密度。

画像はAdobeのイメージです

youtu.be

その中で、テレビカメラが回っていた
「…うわ、TBSだ」
すぐ隣にいた人がインタビューを受けている。
テレビ越しでしか見たことない風景。「へえ...本当にこんな取材あるんだな~」と少し感心した。実際、感心している余裕はないけど。

帰る方法が、ない

京王が止まっているなら、他の手段を考えるしかない。
バスでどこか別の駅まで出て、そこから小田急線に乗り換えるルートしかない。
狛江行きのバスに並ぼうとしたけど… 無理。人が溢れすぎ。

ふと、遠くから声が聞こえた。

成城学園前行きのバスを乗る方はこちらに並んでくださーい!」

このタイミングで誘導してくれる運転手さん、まじで神です!!
一縷の望みをかけて、列に加わった。
並んでから10分くらいでバスが来た。
運がよかったとしか言いようがない。

バスという密室戦場で、ヒーローは運転手だった

ぎゅうぎゅう詰め。
これでもかというくらい人が押し込まれ、私は一番後ろの席のすぐ前、吸い込まれそうなスペースに立っていた。

それでも、運転手さんは諦めなかった。

「お客様、もう少し中ほどまで詰めてください!」

声を張り上げながら、1人でも多く乗せようと必死だった。
その姿に、思わず「頑張って…!」と心の中で応援していた。

途中のバス停で、並んでいる人たちを見てまた胸が詰まる。

「大変申し訳ございません。ただいま満員でご乗車になれません。」

車外スピーカーから、丁寧すぎるほどの謝罪。
誰も乗れないまま、バスはその場を離れていった。
あの瞬間の申し訳なさ、忘れられない。

降車があるたびにまた人が押し寄せ、運転手さんは何度も何度も案内していた。
「お客様、もう少し中ほどまで詰めてください」
…もう、ほんと、ありがとう。運転手さんの背中が本当にカッコよく見えた。

2時間半の帰路、ようやく家にたどり着く

18時。成城学園前に着いた。
そこから電車に乗り継ぎ、家にたどり着いたのは19時少し前
普段なら30分で帰れる道のりが、今日は2時間半

思わず、靴を脱ぐよりも先に「はぁ…」と座り込んでしまった。
疲労感というより、魂がどこかに置き去りにされたような感覚。
でも、無事に帰れてよかった。そう思わなきゃやってられない。

「当たり前」の裏側にいる、誰かの努力を思い知った日

正直、かなりしんどかった。
でも、忘れられないのは、バスの運転手さんの姿
イライラせず、声を荒げず、ただ淡々と丁寧に、混乱を収めようと動いてくれていた人たち普段バスを利用している、地域の方々の協力や我慢

今日の私は、ただの1人の帰宅困難者だったけど。
そんな1人にも、静かに手を差し伸べてくれた人がいた。

陸の孤島」と化した調布駅で見た、混乱とヒーローたちの話。
きっとまた、すぐに日常は戻るけど。
あの2時間半は、もう少し余韻に浸りたい。